Challenge

イングランド食糧システムと食生活の将来について、多様でクリティカルな国民的議論を生み出す戦略をどのようにデザインするべきでしょうか?

イングランド国家食糧戦略は、イングランドの食糧システム全体を網羅する75年来の独立レビューとして立ち上がりました。様々なステークホルダーから意見を募り、業界全体と一般市民の意見をカバーしポリシーデザインに対するエビデンスを集める目的で行われます。

Policy LabによってアサインされRoyal College of Artプロジェクトチームとして、チーム独自のリサーチを託されました。イングランド国民の感じている食文化、食品業界等幅広い分野からプロジェクトエリアを決定し、独自プロジェクトをデザインし、リサーチをサポートすることが本プロジェクトのゴールです。

Main Contribution

  • Visual Design: Visual Identity | Tool Design
  • Board Game Design: Game Structure | Graphics
  • Exhibition Display 

Outcome

  • 100以上のエンドユーザーデータを収集。
  • 食業界のプロフェッショナルとワークショップを開催、フィードバックを収集。

Project concept video

Research

Understanding Food System and People's interest

プロジェクトスタートとして現在の食品サプライチェーン、食卓に消費されその後の処理工程まで食料全体システムを理解するリサーチからスタート。リサーチ後、食システムは世界規模で非常に複雑であり、グローバル化している食品システム全体を捉え問題を探るのは現実的ではないことに気付きました。

またプロジェクト自体はFood Independent Reviewによって既に始まっており、幅広いプロフェッショナル団体からの意見書が集まっていました。このような点から、私たちはプロジェクトスコープエリアをエンドユーザーに限定して彼らの体験や不安に思っていることにフォーカスすることに決定しました。

この後、チームメンバーと一緒に街頭にてユーザーインタビュー、ユーザーオブザベーションを実施。インタビューでは未来のシナリオや現状の知らせる「シナリオイメージ」「ファクトカード」「Votingカード」を用いて、どのトピックが消費者の興味対象エリアかを理解。

インタビューとオブザベーションから得られたインサイトの一つに、消費者は食品廃棄物やプラスチック問題、アニマルライトのトピックに強い関心を持っていること。しかしながら、遺伝子多様性問題、劣悪な労働環境など目に見えづらい話題について、ヒントを与えない限り話題に出てこないことを発見。

このようなユーザー行動の結果、インタビュー前後で色々な情報を提供しながら行うことで多様な会話が成立し、ユーザーもよりクリティカルにテーマについて考えることが出来ると仮定しました。

またユーザーインタビューの内容を分析すると健康、プラスチック問題、栄養情報など個々に興味対象エリアが全く異なるため、会話の方向を予測することが非常に難しいことも理解。特にグループで会話が始まると、それぞれのユーザーが自発的に知識を交換させながら建設的に議論が行われていく過程も理解。これらのインサイト、発見は私たちチームにとって初期リサーチの大きな収穫であり、次過程への重要なアセットになりました。

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Learning Conversation Pattern

国民的対話というテーマの中、良い会話とは何か理解し、どのようにすれば良い方法で会話を円滑に進めることができるのかを探りました。 良い会話と悪い会話の違いを理解した上で、良い会話の鍵となる要素を「面白い」「楽しい」「情報交換」「盛り上がる」「認め合う」「テンポが良い」と定義しました。

初期ユーザーインタビューで集めたデータを再度見直し、人々の会話の流れが最初から最後までどのように進んでいるかを客観的に分析。会話中のエンゲージメントレベルを見てみると、個人的経験や文化に関連すること、悩みなどを話しているときのエンゲージメントが高い傾向があることがわかりました。そのため、インタビューの際のトピック選定では世界規模の食問題ではなく、その人の食経験に関連した会話、ローカルなトピックを用意した方が良いという結論に達しました。

オブザベーションからの発見した対話に対する重要項目

  • 刺激的である 人は身近なもの、目に見えるものに刺激を受けやすい。
  • 予測不能 会話の方向性を予測するのは不可能である。
  • 建設的である 会話中に自分たちの意見、知識を自発的に共有すること。
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Define

デスクリサーチとユーザーリサーチを経て、全国民を巻き込みより良いフードカンバセーションにするための重要な要素をまとめた。

  • 人々は身近なものに影響を受けやすいので、できるだけ身近で実際に見えるものを使用し会話を促すこと。
  • よりクリティカルに食糧システムに対して意見を集めるためには、事前情報を与える必要がある。
  • 会話のトピックは個人に対し興味深く、有益なものでなければならない。
  • 人々の食糧システムへの理解を深めつつ、クリティカルで意義のある議論を設計しなければならない。
  • 一方向ではなく人々の会話に一貫したインタラクションをなければならない。

以上をベースに市民の対話を促すことを定義。また、私たちチームがスタートした時点でFood Independentチームは既にワークショップ、会議、オンライン活動を通じて広範なステークホルダーから意見を集めていました。結果、政策決定への関与が高いステークホルダー、アクティブな市民ユーザーとのエンゲージメントは既に高く保たれていました。

しかしリサーチやPolicyLabとのミーティングをしている中で、低所得層でポリシー制作等に声を上げづらい層、地方在住で地理的に関与することが難しい人、政策決定に投票できない未成年ユーザーグループへのエンゲージメントが低いことが明らかになりました。その結果、私たちはこの3つの市民グループにフォーカスした上でカンバセーションデザインをデザインすることにしました。

良い会話5箇条

#刺激的な会話はポジティブで挑発的なものでなければならない。

#会話のタッチポイントは、食に関連した環境の中で、人々の日常生活からアクセスできるものでなければならない。

#DownToEarth 会話のきっかけは、目に見えるもので、人々の日常生活に関連したものでなければならない。

#情報量が多く、人々の現在の理解や知識に基づいたものだけではないこと

Design

Iteration and improvement of prototypings

フォーカスした3つの異なるユーザーグループに対し、より興味を持ってもらい対話に参加してもらうため3つの異なるツールをアイディエーション。

  • 街中で展開するポップアップ型フードエキシビション
  • 地方在住者でもアクセスしやすいパブで使用するパブクイズ
  • 未成年ユーザーに気軽にアクセスしてもらうためのボードゲーム

3つのアイデアが実際に有効化どうか検証するため、異なるコンテンツ、議論を誘発する挑戦的なコンテンツ、有益な情報を含むプロトタイプをテストし、人々がどのアイデアにどのように反応するかを観察。加えて、食に通じたオブジェクトを使用しどのように会話を能動的にすることが出来るか検証しました。

その結果、深いレベルのインサイトを得るためには、ただ情報を渡すだけではなくファシリテーションが必要であることを理解。例えば、食堂のトレイの下に挑戦的な内容を含むチラシを置いてユーザー観察してみたが、ユーザーは友人とのおしゃべりを楽しむことに集中しており、チラシに注目することはなかった。もう一つの発見は「楽しい」ということでした。ボードゲーム試作品をプレイしてもらったが、情報提供不足、内容が真面目でゲーム自体を楽しんでもらえず食トピックそのものにも興味を持ってもらえず、エンゲージメントが低いという失敗を経験した。

プロトタイプを通じたフィードバック、失敗とベースに、アイデアを改良。重要な要素や内容をピックアップし、Policy Labとのフィードバックセッションを行いました。PolicyLabが抱えていた問題に私たちが挙げたユーザー層とのエンゲージメントに非常に苦労しており、私たちのプロトタイプを活用することで、問題を解決することが出来ると非常に良いフィードバックをいただきました。

また、Policy Labが抱えるキャンペーン予算が大きくないことも初期ミーティングで理解していた為、いかにコストをかけずにイングランド全土に届けやすいかを考える必要があった。その点も私たちのアイディアならデータのやり取りとファシリテーションで済む為、実現可能性が高い点もPolicy Labから高評価を得ました。

Deliver

Public Exhibition and Stakeholder Real Workshop

  • パブクイズ、ボードゲームを活用し実際のステークホルダーワークショップを開催。
  • ロイヤルカレッジオブアートで5日間の一般公開展示会にてユーザーデータを収集
  • 合計100以上のユーザーデータの収集に成功

3つのプロトタイプを最終デザインに落とし込み、実際のステークホルダーワークショップにて使用。食品関連団体とのワークショップ、ローカル農業団体等とのワークショップをPolicyLabと共同開催。ファリシテーション方法の共有、実際のデータ回収を行いPolicyLabへフィードバックを行いました。

またロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて5日間一般公開を実施。実際にブースを訪れた多くの一般ユーザーに対し、ソーシャルオブジェクトを活用しインタビューを実施。期間中で50位上のユーザーデータを収集。

プロジェクト終了後は3つのデザインデータをPolicyLabと共有。コンテンツの精査をしていただいた上で実際のワークショップに活用してもらい、Food Conversationで見過ごされていた3つのユーザーグループとのエンゲージメントを高めることに貢献しました。

ユーザーコメント例

“食品や珍しい表示設定のために私の目を引いたオブジェクトと情報は、私たちの食糧システムについて考えるための新たな視点を与えてくれました。”

“まじめな政策の話をしたくない人にも魅力的で、配信しやすいので、ゲームやパブクイズは本当にいいですね!”

“The object caught my attention because of foods and unusual display setting and the information gave me new perspective to think about our food system.”

“There game and Pub Quiz are really good because it’s attractive to those who are not interested in talking about serious policy stuff and it’s really easy to deliver!”

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